やったらやり返される

ゲーム・アニメ 下手の横好きの日常ブログです

劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン

映像のボリュームがすごくて上映時間140分よりも体感時間はずっと長かった。細かい部分で気になる所はあったけど、率直な感想としてはヴァイオレットの生涯を描き切ってくれて本当にありがとうという気持ちで一杯です

ネタバレは下の方に畳んでおきます。

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テレビシリーズ・外伝と様々な人の愛に触れながら彼女自身も愛を知り、あんなにぎこちなかったヴァイオレットが劇場版ではこんなにも豊かに戸惑いや悲しみや喜びを表現できるまでになったんだと、彼女が愛おしくて仕方ない作品でした。周りからも鼻すする音が聞こえるくらいに涙するファンが多く、自分も何度も泣きました。

ひとつ予定外だったのは、上映後の舞台挨拶での石立監督の言葉が今日一番の泣き所だったことでした。エンドロールで涙腺が落ち着いたところに不意打ちの一撃を食らってドゥバという感じ

 

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[作品公開日を迎えた今の気持ちをお聞かせください]

 

公開できたことが夢のようで、本当に完成するかどうかも分からなかった。でも今、自分たちができることを全力で作品に込めようと、京都アニメーションの全スタッフで作り上げた作品です

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完成できるかも分からなかった

 

涙ぐみ、絞り出すように発した監督の言葉にはあの事件を思い浮かべずにはいられませんでした。どれほど傷付いてどんな思いでここまでやって来られたか…

素晴らしい作品から受ける感動とは違う、ドキュメンタリーな言葉。心が痛みました

 

改めて、作品を公開してくださったことに心から感謝します。

これからも京都アニメーションの作品を楽しみにしてます。 

 

以下、ネタバレあり感想

 

 

ヴァイオレットの生涯を見届けられたのは本当に良かったと思うけど、ストーリーに関しては大絶賛とは思っていないです。 

 

ユリスについて

電話が普及して手紙が廃れ時代は移り変わっていくけれど、どんな形になろうと大切な人を想い伝えることの尊さは不変である

という。手紙に遺す猶予も無く、アイリスとベネディクトが咄嗟の判断で電話を繋ぎ、最期にリュカと言葉を交わすことができたシーンは感動的でした。ただ、これまでのゲスト達とは異なり、今の時代に向けたメッセージのための舞台装置のような役割りになってしまったのが少し気の毒。個人的にはギルベルトの再会よりもユリスとの約束を果たしに戻る展開にしてほしかった。ヴァイオレット自身は帰ろうとしてたけど、神様は約束よりもラブストーリーにしたかったらしい。最期まで儚い少年でした。彼が教えたハンドサインが後世まで受け継がれたのが救いかなぁ

 

ギルベルトについて

思い出の中のギルベルト少佐はとても誠実でかっこいいが、本当のギルベルトは情けない男でもある

パンフレット曰く、その一面を描いたらしい。それ描く意味あったかなぁ?

生きてて記憶もあったのに、生死不明のまま連絡もよこさず母親の葬儀にも顔を出さずに別の島で暮らしてるっていうのには正直がっかりした。残された家族がどれほど心配していたか、母親は亡くなる直前までずっと息子のことを心残りにしていたかもしれない。彼なりの贖罪だったのは理解してあげたいけど、ヴァイオレットやディートフリートの苦悩を見てきた側としては何やってんのという感じ。ほんまにこの大馬鹿野郎~だった笑

 

ディートフリートについて

俺はこういう風にしか言えないんだ…すまなかった

優しい言葉を大事にしている作品の中で、最も皮肉で攻撃的な言葉を使う人物だったお兄ちゃん。言葉とは裏腹に、心の中では弟やブーゲンビリア家や、ヴァイオレットのことも気にかけていたというのはグッとくるシーンでした。

 

ヴァイオレットについて

「愛してる」をくださり、ありがとうございました

すごく感情が豊かになって兵士の頃の面影が完全に消えてたから、ラストシーンで海に飛び込んだ時はびっくりした。そういえばこういう子だったなと、少佐のことになると常軌を逸した行動を取ってしまう彼女に笑ってしまった。

この物語の後も彼女は世界中の人に愛を届けて、愛される存在だったというのを象徴する物が『切手』という演出が素晴らしかったです。アンの孫のデイジーに思いが受け継がれていったように、ヴァイオレット・エヴァーガーデンが伝えたい思いが、いつか未来でこの作品を見る誰かにも届いてほしいと思います。